「盗人を捕まえるには盗人を使え」ということわざがあります。犯罪者を出し抜くのに最適なのは、同じ経験と知識を持つ人間です。欺こうとする者の戦略も手口も、すべて知り尽くしているから。
オーストラリアの大学の入学審査部門には、まさにこの言葉がぴったりの人たちが揃っています。
大学が必死に守り抜こうとする「エリート集団」
入学審査マネージャーにとって、日々の最大の課題は何だと思いますか?迅速な処理でも、上層部との調整でも、長時間労働でもありません。
最大の課題は、**「優秀な審査スタッフを引き留めること」**です。
彼らは常に他部署から狙われています。レベル5の審査官に任命されたばかりの人が、突然他の管理部門から「レベル7のチームリーダー」として引き抜かれることも珍しくない。さらに、内務省・国境警備・移民関連部門など政府機関にとっても、大学の入学審査経験者は喉から手が出るほど欲しい即戦力です。
実際、大学の上級管理職の多くが、入学審査部門でキャリアをスタートさせています。
なぜ彼らはそれほどまでに「優秀」なのか?
一言で言うと、総合力が突出しています。
公平性・公正性・透明性を守るという強い使命感を持ちながら、大学のシステムやIT・学生記録を誰よりも熟知している。怒りや不満を抱えた相手を説得して、最終的には協力的な支持者に変えるほどの交渉力もある。そして必要とあれば、大学の方針や政府の規制を盾に「圧力」をかけてでも膠着状態を打破します。
でも彼らの最大の武器は、そういったスキルじゃないんです。
**「怪しさ」を嗅ぎ分ける感覚です。**何千もの書類と出願者の経歴を見続けてきた経験が、普通の人には気づかないレベルの「違和感」を瞬時に察知させます。
「5件に1件はデタラメだ」という教訓
数年前、ある有力大学グループが出願書類に大規模な不正の疑いを持ちました。審査を一時停止し、すべての書類について出所確認を実施したところ、少なくとも20%が不正、あるいは正当に確認できないという結論が出たんです。
正直、この数字は業界の人間でも衝撃でした。
このエピソードは今でも、すべての入学審査官が研修で必ず聞かされる教訓になっています。「5件に1件はほぼデタラメだ」と。
網の目のように張り巡らされた「不正防止ネットワーク」
審査官は単独で戦っているわけではありません。
資格の正当性を確認する専門データベース、インドや中国など現地のスタンプや翻訳の真偽を特定できる各国の専門家、他大学や海外のオーストラリア領事館・大使館との最新不正トレンドの情報共有。そして必要に応じて、発行元の教育機関に直接連絡して書類の真正性を確認します。
「プライバシーがあるから勝手に連絡できないはずだ」と思うかもしれません。でもそれは出願時に署名した宣誓文で、すでにあなた自身が許可しています。この仕組みについては第9話で詳しく触れています。
最後に:審査官という「高い壁」を越えるために
入学審査スタッフは、組織全体の問題解決に貢献できる優秀な人材であると同時に、不正を防ぐ冷徹な門番でもあります。
彼らは「ノー」という正直な答えには理解を示します。でも不誠実な対応には、絶対に屈しない。
自分の書類に後ろめたいところが何もないなら、この仕組みはあなたの味方です。怖いのは、やましいことがある人だけです。

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